sakura san 4

2日後にはあの噂が広まりきって
女子はもちろん男子までが騒いでいた
心なしかカップルの数も増えているようにも思えた


「夕一は告白したい奴とかいねぇの?」
「ん・・・いないかな、お前はいんの?」
「まぁ・・・うん」

コイツの名前は 木野 太郎

「誰?」
「椎木」
「・・・告白すんの?」
「どうしようかな」
「噂が本当かどうかわかんないよ」
「だよな、それにあんな伝説ありえないよな」
「ああ、偶然に決まってるだろ、多少効果はあるかもしんないけど」
「どんな?」
「ロマンチックだな、とか、人間てのは噂大好きだからな、遊び半分で」
「遊びじゃダメだろ」
「ああ、そうだな」
「どうしようかな」
「オレならするな」

あの子の名前でもわかったら
あの子と仲良くなれたら
試してみたいとも
付き合って見たいと思っても変じゃないだろ?

「お前はまだいい方だよ、太郎」
「どういう事だよ」
「世界には一度見かけた人を好きになって好きなままもう会いたくても会えない、
って人がいんだよ、その人は告白したくても、その勇気があってもできないだろ」
「ん・・・?」
「いいんだよ、なんでもない」


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